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【仏教館】都の祈り 伊豆の祈り― 【近代館】もののありか 静物画のふしぎ

【仏教館】都の祈り 伊豆の祈り― 【近代館】もののありか 静物画のふしぎ

【仏教館】都の祈り 伊豆の祈り
【近代館】もののありか 静物画のふしぎ

開催期間: 2024年4月27日(土)~9月23日(月・休)
開館時間: 9:30~16:30(入館は16:00まで)
休館日 : 展覧会会期中は無休
入館料 : 大人1,000円/学生500円/高校生以下無料
※仏教館・近代館の共通券です
※団体10名以上10%割引
※障がい者手帳をお持ちの方は半額
会場  : 上原美術館 近代館・仏教館

【仏教館】都の祈り 伊豆の祈り

仏教美術は、仏教を核に、風土と文化、祈りが長い時をかけて生み出した、美の結晶です。一方、星の数ほど存在するモノの中から選び抜かれたコレクションも、独自の美意識の結晶といえるでしょう。本展は、上原コレクションの名品を通じて、上原美術館の40年に渡る収集の軌跡を振り返るものです。
当館の前身、上原仏教美術館が初めて収蔵した古美術は、平成元(1989)年収蔵の、十一面観音像でした。本像は今から千年以上前に造像された古像。しっかりとした鼻筋と、目尻の上がった目は、どこか異国的で、若々しく強い意志を感じさせる顔立ちです。
その後、当館は、村上華岳や平山郁夫の作品を相次いで収蔵しましたが、平成12(2000)年に上原近代美術館が開館すると、近代美術館との差別化の点から、再び古美術が見直されます。転機となったのは、平成19(2007)年収蔵の中尊寺経でした。これを機に、当館では古写経の収集を開始し、奈良時代の天平写経や、神護寺経、荒川経など平安時代の装飾経を相次いで収蔵。古写経収集は、当館の収集の一つの柱となりました。平基親願経は当館の古写経コレクションの白眉で、紺地を背景に美麗に彩色された童子が舞う扉絵が美しい作品です。
仏像の収集も継続中です。左写真の鎌倉時代の阿弥陀如来像は、当館の古仏像コレクション第2号。その後も平安時代の薬師如来像、二天像などを収蔵しましたが、制作年代が確定できる仏像が少ない中で、奇しくも同じ文永7(1270)年に造像された阿弥陀如来像と大日如来像を収蔵できたのは、収穫でした。
近年の上原美術館は、古い絵画作品も収蔵しています。「諸尊図像集断簡」は、本年度新収蔵作品。鎌倉時代の密教図像集の、不動明王に従う八大童子を描いた部分の断簡です。鎌倉時代に北条実時が設立した金沢文庫伝来の貴重な作品で、梅原龍三郎の旧蔵品でもあります。上原美術館の40年に渡る収集の「結晶」を是非ご覧ください。

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主な展示作品


【近代館】もののありか 静物画のふしぎ

「ものとは何か」。それは古来より哲学者が向き合ってきた問いのひとつです。「もの」という言葉は、そこにあって掴むことのできる対象をあらわす一方で、それ以上の「何か」を含んでいます。画家たちは静物画を描くとき、ある「もの」を描きながら、その後ろに広がる大きな存在を見つめています。
セザンヌ《ウルビノ壺のある静物》は、布の上に置かれた果物と西洋トマト、色鮮やかなマヨルカ焼の壺が描かれています。壺は真正面から捉えられ、背景に大きな影を映します。右奥にあるカーテンは、模様が生き生きとした筆致で描かれ、布の上のモティーフと呼応するかのようです。再び果物や壺に目を移すと、それらは空中に浮かび上がるかのように不思議な存在感を放ち始めます。
セザンヌが本作を描いたのは30代前半。先輩の画家ピサロの影響を受けながら、自らの絵画を模索する時期でした。この頃、セザンヌとピサロはともに絵を描き、近くに住む医師ポール・ガシェの家を度々訪ねました。ガシェはパリのカフェで印象派の画家たちと芸術論を交わし、自らも絵や版画を制作するパトロンでした。自宅にはアトリエもあり、友人の画家を招きますが、そのガシェの家で描かれたのが本作です。セザンヌは本作と全く同じ構図の静物を、別の角度からも立体的に描いています。セザンヌはこのとき平面や立体を行き来することで、「もののありか」そのものに問いを投げかけています。そうしたセザンヌのまなざしは、間もなくリンゴが転がるような独特の静物画を生み出していきます。
本展では画家たちが描く「もの」へのまなざしに注目することで、「静物画のふしぎ」に迫ります。セザンヌの影響のもと新たな表現を模索する若き安井曽太郎による《静物》、光を浴びる果物と平面的な装飾模様が対照的なマティス《果物皿の傍に立つオダリスク》、生命の儚さをあらわすモティーフを現代的に捉えたドラン《静物》、印象派の色彩に伝統美を融合させたルノワール晩年の《果物の静物》など、画家たちによる「もの」へのまなざしをご紹介します。画家たちが描き出す「静物画のふしぎ」をお楽しみください。

 

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