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アンリ・マティス Henri Matisse
鏡の前に立つ白いガウンを着た裸婦 Nu au peignoir blanc debout devant la glace
1937年 油彩・カンヴァス 46.0×38.0cm

南仏ニースのアトリエが彩り豊かに描き出されています。白いガウンを着た女性は、1932年頃からマティスの制作助手やモデルを務めたロシア人リディア・デレクトルスカヤです。人体の陰影は紫や朱色であらわされ、色彩の中にもヴォリュームを感じさせます。女性が羽織ったガウンは、わずかに緑がかっていることで、赤が主調となる画面で白の印象がさらに際立っています。

女性を写し出す鏡は、画面の奥行複雑にして、空間を倒錯させています。また、鏡の脇に置かれたカンヴァスやイーゼル(カンヴァスを立てる道具)は、この作品を描く画家の存在を垣間見せ、幾重にも重なる不思議な空間を生み出しています。

1951年、戦後初めて日本で開催された「マチス展」において本作を見た安井曽太郎は、「愛らしい、樂しい、美しい小品。人物、鏡、格子模様の背景、のよき連絡」と評しています。

*ポーラ美術館で開催中の展覧会『モネとマティス もうひとつの楽園』(2020年6月1日~11月3日)に出品中です