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須田国太郎
八幡平(焼山)
1954(昭和29)年 油彩・カンヴァス 80.0×65.0cm

1954(昭和29)年7月、須田は全日本観光連盟の依頼を受けて、岩手・秋田県にまたがる八幡平へ足を運びました。須田は盛岡から電車、バスを乗り継ぎ登山、雪渓を渡り八幡平に辿り着きます。当初は「どうもこの辺より八幡平を代表する場所なき如し 頗る平凡ながら着手する」(7月16日付日記)と記しています。しかし、翌々日に峠に出て、焼山を見渡す風景を目の当たりにするとその眺めに魅了されます。「毛せん峠に出る 実に美わしい 両側の山並は美事也(略)しゃくなげの白花さきみだれる 焼山にかかる」(7月18日付日記)。その後、京都に戻った須田は、祇園祭にも行かず再びこの作品に取り組みました。深い緑の中に白いシャクナゲが咲き誇り、遠くには雲の湧く焼山があらわれる本作は、東北の緑深い夏山の偉容を見事にあらわしています。