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安井曽太郎 
銀化せる鯛
1953(昭和28)年 油彩・カンヴァス 65.0×54.0cm

銀色の鯛が真上から堂々とした構図でとらえられています。安井はお正月に知人からもらったこの新鮮な鯛を、別の角度から鮮やかな色彩で描いています。その後、再びこの鯛を描き始めた安井は、5月までアトリエに置き続けました。はじめ赤々としていた鯛は、腐敗してすっかり「干物」になっていたといいます。安井はそのときのことを次のように述べています。「(略)油繪で鯛ははじめてだつたので、仲々豫定通りに進行せず、一日一日とのびて行き、とうとう一月以上かゝり、モデルは干物になつてしまつた。干物になつた鯛は亦美しかつた。立派な銀の彫刻の樣にも見えた」。安井は描き終わった鯛を「何んだか可哀想の樣な氣がし」、家族とともにお皿ごと山の中に埋葬したといいます。