動画による作品解説
・年代:鎌倉時代(13世紀)
・法量:像高99.8cm
西方の極楽浄土に住み、信仰する者を死後、浄土に迎えとるとされた阿弥陀如来の立像。頭体幹部(頭部と体の主要部分)を一材でつくった上、前後に割って内刳を行う一木割矧造の像で、瞳には水晶製の玉眼をはめ込んでいます。螺髪を後頭部でV字形に配し、像底を上げ底式に刳り残す点などは慶派仏師の特徴で、着衣の形式や流麗な衣文線、秀麗な面貌などから、快慶に学んだ仏師の作品と考えられます。なお、通常立像は、両足裏に足枘を作り、台座上面の穴に差し込むのが普通ですが、本像は蓮台上に2本の棒を立て、これを踵の後方に開けた2つの穴に差し込んで立てており、足裏に漆下地を見ることができます。こうした特殊な特徴から本像は、足裏に千幅輪相(如来の足裏にある車輪型の文様)をあらわす像であった可能性があります。鎌倉時代、仏像の姿をなるだけ経典に忠実に再現することで、生身の仏を再現しようとする動きがありますが、本像はこのような生身仏のうち早い時期の作例の可能性が高く、学術的に貴重な仏像です。