オーギュスト・ルノワール Pierre-Auguste Renoir
果物の静物 Nature morte aux fruits
1902年頃 油彩・カンヴァス 18.5×32.5cm
ぶどうやりんご、ザクロなどの瑞々しい果物が輝くような色彩で描き出されています。ぶどうには透明な薄い絵具が塗り重ねられ、下の層を生かすことで明暗が表現されています。りんごは透明と不透明の赤を使い分けて、ザクロは印象派風の筆跡を残した白、赤、黄、緑などを大胆に用いることで、異なる質感があらわされています。
こうした透明感のある絵具の使用はルノワールが伝統的な技法に学んだものでした。1870年代、ルノワールは筆跡を並べる印象派の技法を多用しましたが、その後、行き詰まりを感じ、18 世紀以前の古典絵画に学んで塗り重ね(グラッシ)の技法を再び研究して自らの絵画を発展させました。