横山大観 《東海の朝》

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横山大観
東海の朝
1937(昭和12)年頃 紙本彩色・軸装 75.5×107.5cm

青々とした松の木々が悠々と伸び、その後方には朝日を浴びた白い砂浜が広がっています。大観独自の風格ある簡潔な表現によって、壮大な空間が感じられます。

1937(昭和12)年、大観は第一回文化勲章を受章しました。本作品もその頃に描かれた意欲作の一つです。大観は日本画壇を牽引しながらも、終生日本画の新しい可能性を追求し続けました。

横山大観 《夜桜》

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横山大観 
夜桜
1947(昭和22)年 紙本彩色・額装 55.9×66.8cm

画面全体に暈しが施され、闇夜に燃え盛る篝火が山桜を仄かに浮かび上がらせています。白色の桜花が可憐に咲く傍らに褐色の若葉が見えるようすは、野趣あふれる山桜のたくましい生命力を感じさせます。篝火の周りには僅かに金泥が用いられ、その色調は春宵の大気の柔らかさまでも感じられるかのようです。正面を向き、パターン化された構図の桜花が装飾的に画面を彩り、画面の外から伸びる枝は暈しの抑揚によって奥行が生み出されています。

竹内栖鳳 《海濱小暑》

竹内栖鳳 
海濱小暑
1927(昭和2)年 絹本彩色・軸装 66.8×87.0cm

浜に広がるみずみずしい草木の緑。盛夏も間近となった小暑(二十四節気の一つ、7月7日頃)の海辺の様子が描きとめられています。波打ち際の簡素な家や畑、沖に浮かぶ漁船などからは、人々の営みがうかがえます。四季折々の風情を大切にした栖鳳らしく、身近な自然に潜む美を、卓越した色彩感覚で表現しています。

 

 

上村松園 《初雪》

上村松園 
初雪
1937(昭和12)年 絹本彩色・軸装 82.5×85.5cm

冬の本格的な訪れを告げる初雪。ここでは、手を袖深く引き込め傘を持つ女性の何気ない仕草が、寒さに満ちた空気感を巧みにあらわしています。女性のやわらかい表情には、淡い雪を楽しむかのような微笑がわずかに浮かんでいます。日常を描いた一場面に、松園ならではの女性美と季節を愛でる心情が投影されているかのようです。

―関連講演会(逐次通訳) 「ゴッホ若き日のデッサン《鎌で刈る人》、そして晩年の絵画へ」

講 師 講師:シュラール・ファン・ヒューフテン氏
(美術史家、前ファン・ゴッホ美術館コレクション部長)
日 時2016年10月10日(月・祝) 13:30-15:00 ※終了しました
場 所下田市民文化会館 大ホール(下田市4丁目1番2号)
定 員800名
内 容世界的なゴッホ研究者として知られるシュラール・ファン・ヒューフテン氏をお招きして講演会を開催します。ゴッホは画業のはじまりになぜミレーを模写したのか、晩年に再び模写した意味とは何だったのか、ゴッホ芸術の秘密とその魅力についてお話いただきます。
申 込※聴講無料
※詳細は美術館までお問い合わせください。

チラシ(PDFファイル)

「夏のワークショップ」を開催します

「こども向け 夏のワークショップ 2016」として、「日本画を描いてみよう〜水墨画編〜」(7月23日〈土〉)と、「鉛筆デッサン入門講座(8月12、13日、15日〜17日)」の2つのワークショップを開講します。
いずれも参加費は無料です。画材は当館より貸出します。
夏休みを利用して、ぜひチャレンジしてみてください。
詳細はチラシをご覧ください。

※チラシPDFへ

 

カミーユ・ピサロ ≪エラニーの牧場≫

カミーユ・ピサロ Camille Pissarro
エラニーの牧場 Prairie d'Eragny
1885年 油彩・カンヴァス 54.5×65.5cm

新緑の草原で牛が草をはみ、画面右には林檎の花が咲き誇っています。それらは絵具を混ぜず点のように並べた筆跡で描かれることによって、鮮やかな色彩効果を見せています。サインの赤や、家並みの赤茶色、リンゴの花のピンクなど赤系の色彩は、草原に広がる緑に対するやわらかな補色の効果を生み出し、画面にいっそうの輝きをもたらしています。

本作は1886年の第8回印象派展に出品された作品です。当時の批評家はこの作品を、「近くで見るとカンヴァスはさまざまな色をした釘の頭の集まりのよう」だが、「適正な距離から見ると遠近法が生まれ、面は深さを持ち、空は適度な軽快さで処理されて、広大な空間とぼんやりした地平線の印象が生み出されている」と評しています。

 

 

アルフレッド・シスレー 《秋風景》

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アルフレッド・シスレー Alfred Sisley 
秋風景 La plaine de Champagne du haut des Roches-Courtaut
1880年 油彩・カンヴァス 50.0×65.0cm

フォンテーヌブロー近くの高台からシャンパーニュ平原を流れるセーヌ川を見下ろした風景が描かれています。画面左下に描かれた近景の草むらは絵具を盛り上げるように塗られ、その質感はシスレーが見た風景を生き生きと伝えるかのようです。秋空はリズミカルで荒いタッチ、大地は素早く水平に流れる線で描かれ、地平線は点のような筆跡であらわされています。川の流れに沿うようなタッチによる水面は、空の色を反映して微妙に色彩を変化させています。一貫して移り変わる風景やそこから受ける感覚を描き続けたシスレーは、印象派の画家たちの中でも、最も印象派らしい画家といわれています。

 

 

オディロン・ルドン 《ひまわりのある花束》

ひまわりのある花束 Le bouquet au tournesol 1910-14年 パステル・紙 61.0×47.0cm

オディロン・ルドン Odilon Redon
ひまわりのある花束 Le bouquet au tournesol
1910-14年 パステル・紙 61.0×47.0cm

青い花瓶に一輪の大きなひまわり、キルタンサスのようなピンクの花、マーガレットのような小さく黄色い花などが生けられています。パステルによる簡潔な表現は、花の生命そのものを描き出すかのようです。

それらを引き立てるのが青と白の花瓶です。花瓶の青は、反対色の黄色のひまわりを際立たせています。同じ花瓶を描いた油彩画と比べると、その効果は明瞭です。余白の中に置かれた花瓶と花々は、柔らかなパステルの色彩が響き合うことで、季節や時間を超越するかのような夢幻のイメージに息づいています。

 

 

上原美術館