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松林桂月 
牡丹
1955(昭和30)年頃 絹本墨画淡彩・額装 49.0×56.0cm

はじめに塗った墨が乾く前に別の色や墨を重ねる「たらし込み」の技法で、雨に洗われた牡丹の清らかな姿が描き出されています。胡粉(ごふん)を花弁にのみ少量たらし込むことで花弁の重なりが省略され、雨に潤う牡丹のようすを巧みに捉えています。南画を学んだ桂月には珍しく線描を用いずに描いているため、伸びやかでやわらかな表現が一層際立ち、淡い墨で彩られた静かな情景のなかに優美な趣を秘めています。