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須田国太郎
下田
1956(昭和31)年頃 コンテ・紙 27.0×36.5cm

1954(昭和29)年6月、伊豆風景を描くために招かれた須田国太郎は、一週間の写生旅行をしました。韮山、古奈、下田、石廊崎、松崎、三島などに立ち寄り、各所でスケッチをしながら伊豆を廻ったようです。日記には、「バスで下田へ向かう 割合平凡 天城山横断は流石によし 市中あるく なまこ壁眼につく ここでかくつもりにする」と記されています。

また、数年後には下田港から武山(寝姿山)を望むスケッチ《下田》を描いています。前景に堤防が見え、なまこ壁が並ぶ街の手前には多くの船がひしめいており、当時造船業で栄えた下田の賑わいが垣間見えます。ここでは手前にみえる船よりも、遠景にある2階建てのなまこ壁の倉庫をつぶさに描いており、旅行中須田がよく眼についたというなまこ壁への関心があらわれています。