須田国太郎
高貴寺遠望
1933-34(昭和8-9)年頃 油彩・カンヴァス 41.0×53.0cm
1925(大正14)年から8年間、講師として和歌山高等商業学校に通勤した須田国太郎は、その車窓からしばしば葛城山の山並みを眺めていました。須田はその山並みにスペイン風景を重ね見たのかもしれません。「南山城山河内の木津川より伊製は一寸西班牙のカスチリヤの山中を思わせるものがある」と日記に記しています。特に葛城山は後年まで多く描かれ、1933(昭和8)年頃には数多く描かれています。山並みはカンヴァスの矩形にあわせるようにデフォルメされ、平坦な構図にされることで、かえって深い色調による奥行を生み出そうとするかのようです。