六世紀に日本に伝来した仏教は、都に仏教文化の大輪の花を咲かせ、やがて各地に伝播しました。古代中世の造像を担ったのは、主に皇族や貴族、地方豪族、武士たちで、この時代、仏教美術の名品が数多く生み出されました。

室町後期から戦国時代になると、仏教が地方の民衆の間にも定着します。やがて江戸時代に入ると、全国津々浦々で民衆が仏像造像を発願し、時には様々な立場や階層の人々が自ら造像するようになりました。こうして生まれた仏像の数は、前代を圧倒します。量で見る限り、江戸時代は仏像造像の黄金時代なのです。

江戸時代の伊豆の人々は、江戸に住む仏師たちに造像を依頼したり、彼らが制作した仏像を購入して寺院やお堂に迎えることが多かったようです。しかしその一方で、各地の寺院の片隅に目を凝らし、地域のお堂を訪ねると、伊豆に生きた作者による仏像も伝えられています。これらの像は職業仏師が作る像と比較すると、素朴な造形の像が多いのですが、不思議な魅力を宿しています。

本展では、伊豆で生まれた、造形的には拙いかもしれませんが、愛らしく、愉快で親しみやすい魅力的な仏像を、伊豆半島の全域から集めて展示いたします。

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