小林古径
芥川
1926(大正15)年頃 絹本彩色・軸装 47.5×75.0cm

本作は伊勢物語の第六段、芥川に想を得た作品です。物語は主人公の男が思い続けた女性を連れて逃げる場面から始まります。二人は芥川の近くまで来ますが、夜が更けて雷雨に遭ったため、蔵に助成を隠して戸を守ります。しかし雷鳴に紛れて闇の中から鬼があらわれて食べてしまい、朝には誰の姿もありませんでした。
蔵で眠る女性は長い髪が床にほどけ、美しい着物の模様が闇から浮かび上がります。そこに雷鳴に紛れて鬼があらわれます。古径はその劇的な場面を厳しい線描と余白の繊細な薄墨により見事にあらわしています。