アルベール・マルケ Albert Marquet
ルーアンのセーヌ Rouen, quai de Paris, temps gris
1912年 油彩・カンヴァス 59.0×80.0 cm
*新収蔵

この作品は、マルケが滞在したルーアンのホテルで描かれました。ルーアンは古くからセーヌ川を利用した水運の拠点として栄えた街で、マルケはその中でも、特に賑わっていた河岸を描いています。画面を横切るように大きくセーヌ川が配置され、波止場の倉庫街や、対岸で煙を上げる煙突群、人々が行き交うボイエルデュー橋が捉えられています。曇り空からはやわらかな光がセーヌ川に落ち、水面は穏やかな光に満たされています。川には橋の影とともに、橋脚がうっすらと映り込んで、ゆったりとした流れを感じさせます。
マルケのセーヌ川はひかえめな色彩でほとんどモノトーンのようですが、その描写は多彩なニュアンスを感じさせます。