『絵画が紡ぐ物語/胡蝶舞う浄土』がはじまりました

2021年1月21日より、新しい展覧会『上原コレクション名品選4 絵画が紡ぐ物語/胡蝶舞う浄土』が始まりました。モネの名作≪雪中の家とコルサース山≫をご紹介するほか、新収蔵となる平安・鎌倉時代の貴族・平基親(たいらのもとちか)が書写した≪紺紙金字法華経巻五(平基親願経)≫を初公開します。

 

 

 

 

 

地蔵菩薩像

動画による作品解説

地蔵菩薩像
安土桃山時代(天正20年/1592) 加賀宗圓 作
一木割矧ぎ造り・玉眼・漆箔
土沢地蔵堂(熱海市伊豆山土沢) 熱海市指定文化財

熱海の北東、日金山中腹にある土沢地蔵堂の本尊です。『地蔵菩薩霊験記』によると、熱海は「炎熱地獄の小端」であり、日金山は亡者を救済する地蔵の住処とされていました。本像の年代には諸説ありましたが、当館の調査で見出された木札解読により、天正18年(1590)豊臣秀吉によって焼かれた後、鎌倉大仏所の加賀宗圓が復興造像したものと判明しました。木札には供養の際に「さとう(茶頭)」による茶会が催されたらしいことなど興味深い記事があり、今後の研究が期待されます。

菩薩像

動画による作品解説

菩薩像
平安時代(10世紀) 木造・彫眼・素地
河津平安の仏像展示館/南禅寺(河津町谷津)静岡県指定文化財

南禅寺の平安仏群の一体です。両腕や垂下する天衣までを含む像全体をカヤの一材でつくる一木造りで、干割れを防ぐ内刳りもありません。引き締まった肉身、腰前の鎬が立った衣文、足元の大波小波が打ち寄せるような翻波式衣文は古風で、一木造りの技法とあわせ考えると、10世紀の像と思われます。9世紀後半から10世紀は、伊豆諸島の火山活動が活発化していいました。南禅寺仏像群は、この災厄を鎮静化する目的で中央政府によって制作された可能性があります。

菩薩像

動画による作品解説

菩薩像
平安時代(12世紀) 木造・彫眼・素地
河津平安の仏像展示館/南禅寺(河津町谷津)河津町指定文化財

河津町谷津の南禅寺(なぜんじ)には、26体の平安仏と23点の仏像断片が伝えられています。本像はそのうちの一体で、山津波で被災した姿ながら、頭上の髻と、上半身裸形で天衣をまとう姿から菩薩の像とわかります。内部に大きな空洞があり、各所に節があるなど、明らかに質の悪い材を用いており、細身で大きく湾曲した体、小さな頭に不釣り合いな太い首などは材の形に制約された造形で、霹靂木(へきれきぼく:落雷した木)などの特別な霊木を用いた像と考えられます。

薬師如来像

動画による作品解説

薬師如来像
平安時代(10世紀) 木造・彫眼・漆箔
観音寺(下田市須崎) 下田市指定文化財

かつて厳重な秘仏として、30年に一度だけ開帳された霊像です。頭体を一材でつくる一木造りで、別造の両手や脚部を寄せていますが、台座と表面の金も含め、江戸時代に補われたものに代わっています。
奥行きのある体躯は量感に満ち、腹前の衣文には、大波小波が交互に打ち寄せるような翻波式衣文の名残が認められることから、10世紀の像と考えられます。頭髪と肉髻の境が不明瞭で、帽子をかぶるように見えるのもこの時期の特徴。下田市内最古の像の一体です。

伊豆市共同企画展『伊豆をめぐる名画』がはじまりました

台風19号の影響により、10月12日は臨時休館いたしましたが、10月13日より伊豆市共同企画展『伊豆をめぐる名画―横山大観、安田靫靭彦を中心に―』が始まりました。
展覧会は前期と後期に分かれて、全作品が入れ替わります。前期は11月24日(日)まで、後期は11月27日(水)から2020年1月13日までです。
皆様のご来館を心よりお待ち申し上げております。

伊豆市共同企画展 伊豆をめぐる名画―横山大観、安田靭彦を中心に―
2019年10月12日(土)~2020年1月13日(日)
前期:2019年10月12日(土)~11月24日(日)/後期:11月27日(水)~2020年1月13日(月・祝)
*会期中無休、ただし11月25日(月)、11月26日(火)は展示替えのため休館

上原美術館